浦安音楽ホール

J:COM浦安音楽ホールは、生音の響きを重視し、クラシックを中心とした
音楽を楽しむことができる本格的なコンサートホールです。

12/15 アンドレアス・シュタイアー

アンドレアス・シュタイアー ~バッハとフランス~

古楽器との相性抜群の音響を持つ浦安音楽ホールで繰り広げられる「現代古楽界のカリスマ」による珠玉のチェンバロ・プログラム。
世界中の名だたる一流演奏家たちから慕われる彼の魅力と、今回のプログラムの聴きどころについて、当日お配りするプログラム・ノートから少しご紹介いたします。

Photo By JosepMolina

現代古楽界のカリスマ  アンドレアス・シュタイアー

 アンドレアス・シュタイアーはドイツを代表するチェンバリスト、フォルテピアノ奏者。欧州の古楽祭や古楽オーケストラのソリストに引っ張りだこの人気者だが、どちらかといえばカリスマ的な存在だ。とりわけバロックや古典派音楽の優れた解釈者、演奏家として多くの音楽家たちから一目置かれている。たとえば、ショパン・コンクールの優勝者アヴデーエワは一時期シュタイアーのバッハのCDの音源をいつも持ち歩いて勉強していたというし、今を時めくスターたち、ヴァイオリンのイザベル・ファウストやチェロのケラス、ピアノのメルニコフらから兄貴分として慕われ、古楽器、モダン楽器を問わず一流の音楽家たちから共演者に望まれている。

 それほどまでに聴衆や音楽家を惹きつけるものは何か。それはかれが音楽への深い知識と確かな演奏技術を持ちつつ、常に霊感とファンタジーに富んだスペシャルな音楽を聴かせてくれるからだ。リサイタルのプログラム作りも同様。熟考の末に自ら心底面白いと思える選曲でコンサートに臨み、一つ一つの曲と真摯に向き合う。その演奏は常に内的な喜びの躍動と精神の煌めきに満ちていて、聴衆や共演者を魅了せずにおかない。

今回のプログラムの聴きどころ

 J・S・バッハ(1685年~1750年)とフランスの鍵盤音楽を集めた本日のプログラムも彼らしい。

 バッハが活躍していた17世紀末から18世紀前半のヨーロッパの貴族社会は、ルイ14世のフランスの王室文化が最大の規範であり憧れの的だった。ドイツの貴族たちも流行のファッションで身を飾り、あまり上手ではないフランス語を話し、フランス人の教師にバレエやフェンシングを習った。音楽もまた然り。ドイツの音楽家や愛好家たちは華麗でゴージャスなフランス風歌劇や劇中の舞曲、トリルなどの美しい装飾音に彩られたクラヴサン(フランス語でチェンバロのこと)音楽に夢中になった。

 バッハがそんなフランス音楽と出会ったのは、北ドイツのリューネブルクの教会付属学校の生徒の頃。15歳から17歳くらいだから、今日の日本でいえば高校生。近郊のツェレに居城を構える大公の妃が、フランス出身だったこともあって宮廷では日々フランス音楽が鳴り響いていたのだ。勉強熱心なバッハは、フランス人のダンスの教師に頼み込んでそれらをつぶさに聴くことができたのだった。その後もバッハは楽譜を通してフランス音楽を学び、やがてその成果は《フランス風序曲》や鍵盤楽器の組曲、管弦楽組曲などに結実することになる。なお、本日演奏されるフランスの作曲家はすべてバッハが研究した人たちだ。…

―― プログラムノートより  那須田 務(音楽評論家)

 

アンドレアス・シュタイアー プロフィール

ドイツのゲッティンゲン生まれ。ハノーヴァーとアムステルダムでピアノとチェンバロを学び、1983年よりムジカ・アンティクァ・ケルンのチェンバロ奏者として活動し、以降フォルテピアノとチェンバロのスペシャリストとして国際的に活躍している。80年代初頭のデビュー当時は、チェンバロとフォルテピアノを弾くにもかかわらず、「バックハウスやケンプ以来の、ドイツ音楽を代弁するピアニスト」と賞され、彼の大いなる才能が注目された。その後も真摯に自らの芸術を極め、今や「巨匠」への道を着実に歩む数少ない実力者として広く認められるところとなった。
チェンバロ、フォルテピアノ、モダンピアノと、作品の時代に合わせた鍵盤楽器を巧みに弾きわけ、オーケストラのソリストとして、コンチェルト・ケルン、フライブルク・バロック管弦楽団、ベルリン古楽アカデミー、シャンゼリゼ管弦楽団など、欧米各地で活躍している。
ソロ活動に加えて、リート伴奏、室内楽奏者としても、アンネ=ゾフィー・フォン・オッター、ジャン=ギアン・ケラス、クリストフ・プレガルディエンなど、世界的ソリストとの共演も多い。
CDはドイツ・ハルモニアムンディを中心に数多く録音し、『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』(2011年度レコード・アカデミー賞大賞銅賞・器楽曲部門)、『ベートーヴェン:ディアベリ変奏曲』(2012年グラモフォン年間最優秀アーティストにノミネート)等が世界各地で高い評価を得ている。

 

名手・シュタイアーの手によって現代によみがえるフランス宮廷音楽の隆盛、そして同時代のバッハがその流行にいかに自身の世界観を投影させたのか。
あなたの感性と好奇心を刺激するひとときを、浦安音楽ホールで、ぜひじっくり味わってください。


アンドレアス・シュタイアー ~バッハとフランス~

日時

 2018年12月15日(土) 14:00開演予定

会場

 コンサートホール

出演者

 アンドレアス・シュタイアー(チェンバロ)

曲目

 ダングルベール:クラウザン組曲第1番 ト長調
 J.S.バッハ:幻想曲とフーガ イ短調 BWV904 
 ダングルベール:フーガ・グラーヴェ 同じ主題による4声のフーガ
 グリニー:オルガン曲集第1巻からグランジューによるディアローグ
 J.S.バッハ:「フーガの技法」BWV1080から
 コントラプンクトゥスV、コントラプンクトゥスVI(フランス風フーガ)
 クープラン:「クラヴサン奏法論」から前奏曲第7番 変ロ長調
 クープラン:クラヴサン曲集第2巻・第6曲組曲から
       収穫をする人々/さえずり/ベルサン牧歌(ロンド―)/神秘的なバリケード
 J.S.バッハ:パルティータ第4番 ニ長調 BWV828

チケット

 料金
 (全席指定)¥4,500
 【一般発売日:7月28日(土)】
 【友の会先行予約期間:7月5日(木)~9日(月)】

備考  チラシデータはこちらから